文部科学省平成22年度予算(案)
文部科学省のWebサイトに,平成22年度予算案関係文書が公開されている。これは当初の概算要求後に,例の事業仕分けが行われ,その後に文部科学省に寄せられた意見をもとに省として再検討した結果だ。
ICT関係については,概算要求(pdf)時は「学校におけるICT活用事業の推進~学校教育情報化推進総合プラン~」ということで,約7億円が計上されていた。これは従来とほぼ同程度の予算要求だ。その後,政権交代があり,事業仕分けにおいて例のように「電子黒板」に対する(無理解な)批判から,ICT関係のすべての予算(教員のICT活用指導力養成,教員のサポート体制や計画的な環境整備等,情報モラル専門員派遣等もすべて)が「予算額0」と判定された。これはあまりに理不尽なことだったが,その後,文部科学省は事業仕分けに関しての意見募集を行なったため,ぼくが事務局として関わっている日本教育工学会,全日本教育工学研究協議会でも意見を提出することとなったし,知っている限りでも情報処理学会や,日本教育メディア学会,情報科教育学会等からも意見が寄せられることとなった。
その結果が,ここ(pdf)のp4にある。「学校ICT活用推進事業」は,事業仕分けでは「廃止」となり,その理由として「ICT推進の必要性については否定しないが,事業の実施内容に問題がある」ということが示されていた。その後の意見募集では,約260件の意見が寄せられ,そのうち事業仕分けの結果に賛成する意見は概ね1割であったことが書かれている。事業仕分けの結果に反対する意見は約9割は,世界的にも先進国に比べ日本は遅れていること,ICTを活用した学習環境改善の具体的施策提示は国としての責務であること,さらには電子黒板の是非の議論ばかりだったのに,学習指導要領でも重視されている情報モラル教育までひとくくりに廃止してよいか疑問といった意見が示されている。しかしその結果,他の事業等がそれなりに復活しているのにも関わらず。「学校ICT活用推進事業」は「廃止」と決定し,予算額はやはり0となった。
この分野の研究者として,これはたいへん憂慮すべき事態だと思っている。問題も大きいと考えている。今年の最後にこんな結末になったことをとても寂しく感じている。
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